石物語&なぞり書き

石物語&なぞり書き

ブラッドストーン(血石)の物語

深緑の石に赤い斑点が浮かぶブラッドストーン。「これを持ってると元気になるんだぜ」と、友人は妙に自信ありげに言う。キリストの血が染み込んだなんて伝説があるらしいが、そんなの信じるのは小学生までだろう。でも、この友人、最近妙に元気なんだよな。
石物語&なぞり書き

アクアマリン(藍玉)の物語

奇妙なことに、この青い石を見るたびに私は昔飼っていた金魚を思い出す。その金魚鉢の水面越しに見える景色と、このアクアマリンの光沢にはどこか通じるものがあるような気がするのだ。もちろん、それは私の勝手な思い込みであろう。しかし、この石を眺めていると、まるで時間が巻き戻され、あの穏やかな午後、金魚鉢のそばで過ごした静かなひとときに戻れるような気がしてならないのだ。
石物語&なぞり書き

オブシディアン(黒曜石)の物語

「おや、これはこれは!」 彼が差し出したのは、黒く艶やかな石ころ。掌に乗せてみると、つるりとして、妙に気持ちがいい。「お前さん、この石が何か分かるかね?」「さて、魔法の石とか?」
石物語&なぞり書き

トルマリン(電気石)の物語

その石は、淡い桃色をたたえながらも、どこか冷ややかな光沢を放っていた。「恋愛運を高める」という触れ込みは、一種の迷信に過ぎないと知りつつも、人々はその小さな結晶に己の希望を託すのである。その滑稽さと哀れさが、妙に心に残った。
石物語&なぞり書き

スフェーン(楔石)の物語

 彼女は高級ホテルのラウンジで、スフェーンをはめた指輪をさりげなく見せびらかしていた。「これね、運気を上げるって言われてるの。まあ、信じるかどうかは別として」 と笑いながら、隣の女の嫉妬の視線をしっかり受け止めていた。
石物語&なぞり書き

オパール(蛋白石)の物語

「それでさ、あの石が光るって言うんだよ」彼は急に話を切り出した。「オパールだっけ。虹みたいな色が揺れるやつ。」 僕は曖昧に頷いた。彼の話はいつもどこか現実離れしているけど、妙に信じたくなる。
石物語&なぞり書き

サンストーン(日長石)の物語

 石の中で、時間が逆流を始めた。 バイキングの航海士が見たという北極星の光が、石の中で瞬いている。チベットの医師が祈りを捧げたという金色の輝きが、今も消えることなく続いている。 そして。 古代の戦士の血が染み込んだという赤い色合いが、今この瞬間も、新たな物語を紡ぎ出そうとしている。
石物語&なぞり書き

#25 サファイア(蒼玉)

いにしえより伝わる青玉、サファイアは、智恵の結晶として仰がれし宝石なり。その深き青は、天空の神秘を映し、心の迷いを静める力を宿すとされる。古の王侯貴族は、この尊き石を身に付けることにより、邪なる気を祓い、清らかなる心を護りしと伝えらる。殊に、真実を見抜く力と、高き叡智を授くる力あり。
石物語&なぞり書き

#10 アイオライト(菫青石)

蒼き霧に包まれし秘石にして、光の戯れにより姿を変ず。時に深き紫紺の衣をまとい、時に淡き蒼穹の面影を映す。見る者の心眼を試すがごとく、角度により異なる表情を見せるさま、まるで夢幻の世界へ誘う導き手のごとし。
石物語&なぞり書き

#24 クンツァイト

の深みに淡き桃色の光を宿せる石あり。朝の光を浴びれば淡く紫がかり、夕映えに染まりては薔薇の輝きを添うなり。この石を手にする者は、穏やかなる癒しとともに、清らかなる心の目覚めを得ると伝えられしものなり。