
なぞり書きシート「虹の絵具皿」宮沢賢治

「虹の絵具皿」宮沢賢治
ところが二人は全くおどろいてしまいました。あられと思ったのはみんなダイアモンドやトパァスやサファイアだったのです。おお、その雨がどんなにきらびやかなまぶしいものだったでしょう。
雨の向こうにはお日さまが、うすい緑色のくまを取って、まっ白に光っていましたが、そのこちらで宝石の雨はあらゆる小さな虹をあげました。金剛石がはげしくぶっつかり合っては青い燐光を起こしました。
雑感
なんと美しい情景でございましょう。天から降り注ぐ宝石の雨は、まるで私たちの心を浄化してくれるような神々しい輝きを放っているようでございます。
賢治さまは、天然石の持つ神秘的な美しさを、まことに繊細に描き出されております。ダイアモンドやトパーズ、サファイアといった宝石たちが、まるで天からの贈り物のように降り注ぐ様子は、私たち石を愛でる者の心を深く揺さぶるものでございます。
特に心打たれますのは、宝石たちが空中でぶつかり合い、青い燐光を放つ描写でございます。それは、まるで石たち一つ一つが命を持ち、光の舞踏を奏でているかのよう。賢治さまは、石を単なる鉱物としてではなく、自然の息吹を持った存在として描かれているのでございましょう。
このような美しい描写に触れますと、私たちの日常にも、ふと目を凝らせば、きらめく宝石のような瞬間が隠れているのではないかと、そう感じられてまいります。